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今回のカリキュラムは、先の「海洋科学技術セミナー」とほぼ類似した内容で行ったが、大きく異なっていたことは、実技・実習の時間を大幅に増加し、講義時間を短縮したことであった。これは、上記セミナーの参加者から得たアンケート調査の結果を大きく反映したものである。
今回も上記のセミナーと同様に、終了時にアンケート調査を実施したが、本スクール全般についての感想は、参加者全員が「おもしろかった」と答え、多くの参加者にとって本スクールの内容が彼らの期待どおり、またはそれ以上のものであったことが後述する「参加者感想」(資料2)に示されている。
本スクールにおける特にユニークな内容は各種の実験や実習であったと思われる。「高圧環境体験」は、当センターで所有するチェンバーと呼ばれる圧力タンクの中に入り、30mまで空気で加圧される体験をしたもので、当該圧力下で起こるさまざまな変化、特に物理学的変化〔加減圧に伴う気体の体積の変化(ボイルの法則)や減圧に伴う断熱膨張で生じる霧の発生現象など〕については、彼らが教室で語る圧力変化とそれに伴う気体の体積の変化に関する理論が目の当たり実証でき、しかも、試験管内でしか行えなかった実験を、大規模な装置を用いて教師自らが体験できたことに対し非常に大きな感銘を覚えていた。また、これ以外の実習や講義についても、貴重な体験を得ることができたことなど、本セミナーが極めて有意義であったことが、同様に「参加者感想」(資料2)からも伺える。
今回のスクールは、高等学校の夏休みに標準を合わせて実施したが、この時期、北海道では、文化祭の最盛期であったため、止むなく参加出来なかった者もいたようであった。従って、今後は、開催時期などを含め、より多くの教諭が参加できるような環境整備を行うことが必要であると考える。
そして多くの教諭たちに海洋科学技術に関する知識を啓蒙することにより、海洋研究の楽しさや海洋開発の必要性などの情報が生徒たちに伝われば、ゆくゆくは海洋科学技術の研究を志す青少年の育成に貢献できると考えられる。

 

 

 

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